テレビアニメ、くれよんしんちゃんの、テーマソング、わかりますか。パニックパニックと繰り返す、あの曲です。今私の頭の中には、あの曲がぐるぐる回っています。私の目の前には、今にも溢れそうな、トイレの便器があるのですから。

ちょっと前からなんとなく、水の流れが悪いような気がしていたのです。でもそれを気が付かないふりをしてしまっていました。だって水回りのトラブルって、きちんとした症状が出ないと、業者さんを呼んでいい物かどうか、わからないじゃないですか。水が噴き出したとか、どっかから漏れてるとか、わかりやすいトラブルなら良かったのですが、なんとなく水の流れが悪いからとか、水が流れ切るまでに時間がかかるとかだけでは、トラブルとは言えません。水がながれきる時の音が、どうもちょっと前と違う気がするなんて、相談してもウザがられるだけだと思ったのです。でも、今目の前にある光景は、まさに水回りのトラブル。一見冷静に見えるかもしれませんが、いつ溢れるかわからないのでこの場を離れるわけにもいかず、固まっているだけ。本当は雑巾でも、水を受けるバケツでも取りに行きたいところですが、パニックで逆に動けないのです。

今にも溢れそうなのでラバーカップも入りません。そもそも、ラバーカップを取りに行く心の余裕がないのです。背中に冷や汗をかきながら、水がせりあがるのが止まってくれないか。そのまままた、水位が下がってくれないか。心で必死に、どこかに居るはずの神に祈るしかなかったのです。

5分くらい経ったでしょうか。身じろぎひとつせずトイレの便器とにらめっこしていた時間は。実際は2分かもしれなかったし、3分だったかもしれません。でも私にとっては、10分くらい、とにかく長く感じました。神への祈りが通じ、水位が少しずつ正常値まで戻るまでの時間は。