我が家はずっと築40年のボロアパートに暮らしていたのだが、老朽化がひどく、家を歩くたびにミシミシ音がなるようになってきていた。大きな地震が起きたら潰れてしまうんじゃないかと思えるくらい、建物自体も心許なくなった。そういうわけで一念発起し、築5年の比較的新しい今のアパートに約半年前に引っ越してきた。新しいだけあって、床がミシミシ音を立てたりすることもない。大きな地震があっても、きっとこのアパートなら大丈夫と安心していたのだけれど…。

それに初めて気づいたのは製氷皿から氷を取り出したときだった。透明な氷であるはずなのに、その氷の中に黒い小さな粒がいくつか見えた。何だろう?手でしばらく氷を溶かし、その黒い粒を取り出してみた。指に乗せて潰してみると、黒い筋が伸びた。匂いを嗅いでみるが、無臭である。だけどよくよく見たら、14個できた氷全てにその黒い粒が入っている。何だか気持ち悪くてその氷は全て捨ててしまった。だが再び氷を作ろうと製氷皿に水をいれたのだが、またしてもその水の中に黒い粒が漂っている。こんな粒、今まであっただろうか。最近になって急に出てきたのか、それともずっと出ていたのに気付いたのが今だったのか、それもわからない。

私はアパートの管理会社にお願いして、業者を呼んでもらった。調べてみると、それは科学的な物質の何かだけどわからない、でも体に害はないから大丈夫とのことだった。いや、何だかわからないのに害はないってどうして言えるの?気になるなら浄水器をつけたらどうですかと勧められ、とりあえずの応急処置として浄水器をつけることにした。アパートの他の部屋も調べたらどこが原因かわかるのでは?と管理会社に提案してみたものの、わざわざこちらから住人を不安にさせるようなことは言えないとのことだった。知らぬが仏ということか。

私の心にも黒い粒が浮き始め、引っ越そうかな、という思いが今よぎっている。